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長い旅の終わりは・・・ [モロッコ]

さて、わたしの3年前のモロッコ旅行の思い出も終りに近付きました。
最終地点は、この旅の振り出しに戻りカサブランカなのですが、
その前に、モロッコ王国の首都であり、
現国王のモハメッド6世がお住まいの王宮もあるラバトに立ち寄りました。

そして、ここラバトでの観光は・・・
フランスからの独立を果たした、きっと、モロッコでは英雄でしょうね。
現国王の祖父にあたるモハメッド5世の眠る霊廟です。
こちらでは内部の見学もでき、
国内外よりたくさんの見学者がお見えで驚いたのを覚えています。

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モハメッド6世が亡くなられたのは1961年で、
息子のハッサン2世が1971年に建造させ、
ベトナム人の設計により1973年に完成したそうです。
ちなみに廟の中の写真撮影もOKだったのですが、
お墓を写すのに抵抗があったわたしは一切撮影しませんでした。
でも、コーランが厳かに流れる中、
天井が金色に輝いた内部の豪華さは今でも覚えており、
中央の白い石棺にはモハメッド6世が、そしてその左右には息子達である、
ハッサン2世とその弟のムーレイ・アブドラ王子が眠っておいででした。
また、霊廟の四方の出入り口には1人づつ衛兵が立っており、彼らの写真撮影もOKでした。

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モロッコでも男子は18歳になると徴兵があり約2年の軍隊生活を送るそう・・・

そして、モハメッド5世廟の階段を下りて大西洋を向こうに見ながら、
その手前には作りかけのハッサンの塔と呼ばれるミナレットが見えます。

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これは1195年ムワッヒド朝時代
ヤクーブ・マンスールがモスクを建造しようとしたのですが、
その4年後に没してしまい、そのままになっているのです。
ですから、このハッサンの塔も88mの予定が44mで止まったままで、
完成したら4万人収容予定だったモスクの360本の柱も何だか所在なげに見えました。

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ハッサンの塔からモハメッド5世廟を見て

そうやって霊廟を見学後、バスに乗ろうと門を出た途端、
ちょっとビックリした出来事が待ち構えておりました・・・

王様の霊廟の外国人観光客の中でも若い女性をターゲットにしてるようでしたが、
お喋りしながら女ばかり7~8人で、バスが待つ駐車場まで歩こうと門を出た途端、
多分まだ10代じゃないかと思ったのですが、きっと待ち構えてたんでしょうね。
わたしの少し前を歩いていた仲間の中でも1番若い彼女を・・・

サッと3~4人の若い女性で取り囲み、
有無をも言わせぬ早業で彼女の手に何やら描いているのです。
まあ、当の本人も一瞬のことで唖然としながらもOKしたようでしたが、
メンディーという、染料のへナを用いたへナ・アートだったんですね。
わたしもTVでは知っていましたが、実物を見るのは初めてで、
後からジックリ見せてもらいましたが、なかなか描き手も慣れたもので、
お値段はもう忘れてしまいましたが、
アラビックデザインの意外な旅のお土産となったようです。

それにしても、常に頭や顔をベールで隠し、
人前にもあまり出たがらないと言われるあちらの女性も時代の移り変わりというのでしょうか?
この観光客相手に強気のショーバイをしていた彼女達は、ベールなど何処へやら・・・
ジーンズにヘソ出しルックと肌も露わに日本のギャルと全く変わらぬ格好で、
ただただ、驚いたのを思い出します・・・

そして、とうとう振り出しのモロッコ最大の都市カサブランカに帰ってきました。
ただ、カサブランカは都会というだけで、歴史的な見所はなく、
街のシンボルとなっている
2000年に崩御した前国王のハッサン2世モスクだけの見学でした。

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ホテルのバルコニーから、ビルの向こうに見えるミナレット

1993年に完成した新しいモスクで、とにかく大きい!!
ちなみに高速エレベーター付きのミナレットの高さは210mで世界一だそうな・・・

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そしてとにかく、壁面の彫刻やモザイクタイルの美しいこと!

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壮観で圧倒されそうなほどの佇まいでしたが、驚きはこれだけではなく・・・
というのも、こちらのモスクは非イスラム教徒以外でも中に入ることができ、
わたしは生まれて初めてモスクの内部を知ることになったのです。

アフリカ最大を誇る内部は土足厳禁でみな靴を脱ぎ、靴の入った袋を片手に案内されるのですが、
先ず、入って目にした主礼拝堂は常時25,000人の礼拝者を収容できるそう!

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とにかく、どこもかしこもピカピカで、
床はガラス張りで、この豪華なシャンデリアはイタリアからの輸入とか・・・

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そしてこちらは地下にあったスチームバス完備のハマム(浴室)

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何でも中央の深さは1,5mもあるそうなので小柄な方は溺れるかも!?
ただ、不思議な事にこのハマムは1度も使われてはおらず、
この時の説明では、このハマムだけモスクからは切り離され、
別会社がどーのこーのと聞いたように思うのですが、
はてさて今はどうなっているのでしょう?

それにしても、こんな壮大で豪華なのを作ったのはいいけど、
それもこれも国民の税金が多分に投入されてるのでしょうから、
このモスク建設に反対した人がいても決しておかしくないですよね・・・

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モスク前の広場からジブラルタル海峡を望んで

ところで、このハッサン2世モスクではもう一つ楽しいことがありました。
開場時間より早く到着してしまい、少しだけ時間潰しをしたのですが、
その時、そばで楽しげにサッカーボールを蹴ってる3人の男の子達と仲良くなったのです。
お互いに片言の英語(わたしは単語)で日本人だと言い、彼らは14~5歳だと言ってましたが、
モロッコ最終日の記念にと「オバサンと一緒に写真を撮ってくれない?」と言ったところ、
何とも快くOKしてくれ、自分たちで立ち位置まで決め
オバサンはここね、とわたしを間にし肩や腕を組んでの撮影となりました。
とてもフレンドリーな男の子達で、モロッコ最終日の楽しい思い出となりました。

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メンがワレないことを信じて!?

そしてこちらはモロッコ名物でもありますね。
マラケシュやフェズでも見かけたヤギの皮の袋に水を入れ売っている水売りオジサン
彼らは、派手な衣装を着て写真撮影のチップで生計を立てているのですが、
この写真はカサブランカでバスに乗り空港へ向かう途中、
偶然停車した時、車窓から休憩中を隠し撮り?したので勿論、ノーギャラ!

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また、こちらはご存じの方は少ないでしょうか?
ドバイ空港にあった我が国が誇るTOTO製のイスラムのおトイレ
イスラム教では、左手が不浄の手とされています。
そしてトイレットペーパーは使わず、用が済んだ後は水で流します。
ですから、場所によってはおトイレの中が水浸し状態の場合も・・・

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以上、3年前のモロッコでの思い出話もおトイレの写真で最後となりましたが、
今、考えても、この旅で1番心に残ったのは、貧富の差の激しさだったように思います。
とにかく、山を越え砂漠地帯に入ってからはそれを強く感じ・・・

観光バスが停車すれば何処からか集まって来る裸足の物乞いする子供たち、
それに泥水としか言いようのない井戸水を飲料水として使っている砂の町、
また都会といわれる所でも、
新築マンションが立ち並ぶ景色から2~3分走っただけで
今にも崩れ落ちそうなバラック屋根が見えたりと・・・
わたしの普段の生活では、決して見ることのない景色を見て、
言い知れぬ矛盾を感じ、考えさせられた旅でした。

そして今になって、ふと思い出したのが、
10数年前に初めて訪れたフィレンツェのドゥオモ近くの広場で目にした光景です。
当時はジプシーの物乞いが多く、問題になっていたようですが、
石畳にひとり佇む物乞いの両の掌に、
何とも自然な仕草でそっとコインをのせ通り過ぎた真っ赤なコートを羽織った老婦人・・・
当時のわたしには思いも寄らない彼女の行為でしたが、
それが欧米人の当たり前なんだとわたしが初めて知った時のことを・・・

あしあと(9)  コメント(14) 
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あしあと 9

コメント 14

雀翁

いろんな意味でとても有意義な旅をされたなと思います。楽しいことも見たくなかったこともたくさんあったでしょう。でもそれがcolletさんの心を鍛え、感受性を一段と豊かにしているんだと思います(なんだか、わかったような、えらそうな書き方になりました。すみません)。

6枚目の写真が、どうもピサの斜塔のようにゆがんで見えるのは私の目の錯覚でしょうか、それともcolletさんのカメラの錯覚でしょうか。

豊かな者が貧しい者を助けるのは、たいていの宗教で「善」や「美」とされていますが、それを実践する人は、多数ではないのでしょうね。貧富の差はもう他人事ではなくなってきました。

by 雀翁 (2010-10-18 20:21) 

hirohiro

モスクの中の美しさにびっくりです!
写真でも、息をのむくらい美しさを
感じるのですから、本物はすごいでしょうね!!

ところで男の子といっしょに写った
お写真!お顔ははっきりわかりませんが
colletさん、なんとなくNHKの有働アナに
似ているような・・・。

イスラムのトイレを初めて見ました。
わたしたちが使っているのとかなり
違いますね、水で流すって、どうなんでしょう?
清潔なのかな?
いや・・・、あまり深く考えないほうがいいかしら(笑)。



by hirohiro (2010-10-18 20:53) 

たいちさん

モロッコは世界的な観光地ですので、物乞いや物売りが多かったでしょうね。
by たいちさん (2010-10-18 22:35) 

ジョージ

モロッコの旅は心身共にベストな状態じゃないと何かと大変なことになりそうですね。

写真のようなイスラム式トイレは、20年くらい前にマレーシアで初体験したときびっくりしましたが、空港などでは、ペーパーも備えてあるところも。
昨年クロアチアのドゥブロヴニクでもかわったトイレを体験しました。(写真撮影する余裕もなく・・・)

モスクなどイスラム建築は、今回のスペイン旅行でも内部をじっくり見てきました。アラベスク模様とタイルの色がきれいですね。

アルハンブラ宮殿にももともとはハマムがあったそうですが、キリスト教になってから廃止され、最近になって水着着用の温水プール形式で復活したとか。(TVで見た情報なのでどこにあるのか場所はわかりません)
by ジョージ (2010-10-19 18:30) 

しろのぽ

普段知るものとは全く違う風土、文化、人の心のありよう・・・
違いが大きいほどに、そこで感じとるものも大きそう。
そんな気持ちになる旅レポです。
イスラムの幾何学的文様や色彩、現地の光の下で見てみたい!
空の色もなんだか違うようですね(^-^)
by しろのぽ (2010-10-19 21:01) 

よしあき・ギャラリー

何度も言いますが写真が素晴らしい。構図、色、・・文句なしですね~
貧富の差、何処にもありますが、とりわけ酷いようですね。
自分の現状に手を打たなければいけませんね。^^;
by よしあき・ギャラリー (2010-10-20 09:13) 

collet

★雀翁さんへ
本当に・・・遠くて疲れましたが今思うと、
家庭の事情や体力的にもこの時が出掛ける時だったように思います。
じつは、諸事情があり当分長期の旅行は難しくなりました。
やはり、行ける時に行っといて良かったですわ~(^^ゞ
で、、、嬉しいコメントもいただきありがとうございます~~
まあ、常日頃より何でも経験だと思っているもので、
それはみなわたしの糧になっていると思います~ナンちゃって~~(~o~)

それから歪んで見えるミナレットはわたしの写し方の不味さです。
何しろ高速エレベーター付きですので、真っすぐで~~す!

>貧富の差はもう他人事ではなくなってきました
本当に!明日は我が身の今日この頃・・・(;一_一)


★hirohiroさんへ
モスクなんて、普通はイスラム教徒でないと入室できないのですが、
今思うに・・・こちらは入場料欲しさにOKだったのかもね?
とにかく、あの豪華さでお金がかかってますもん~~(+_+)

>有働アナに似ているような・・・。
あははは・・・そうですね~ヘアスタイルは彼女と同じようですよ。
でもって、丸顔も似てるかな~~(~o~)

おトイレの使い方はわたしも詳しく知らないんです。
イトコのお嫁さんがインドネシア人でイスラム教徒なので、
また逢った時に聞いときますね~~(^^ゞ
by collet (2010-10-20 11:42) 

collet

★たいちさんへ
都会ではそうでもないのですが、やはり砂漠地帯は多かったですね。
一昔前まではアジアでも良く見た光景ですが・・・


★ジョージさんへ
この時のわたしの旅は長距離に渡っていましたので確かに疲れました。
でも、マラケシュやフェズだけをゆっくりと訪れるのもおススメですよ。

>空港などでは、ペーパーも備えてあるところも。
そうですね、ここも写真には写ってませんがペーパーはありました。
観光地である限り、我々のような一般人も入りますものね。
でね、ここは最新式のシャワー完備ですが、
田舎では桶にお水をいれ柄杓が突っ込んでありましたよ~~(~o~)
ところで、ドゥブロヴニクのかわったのって?興味あります~~
何だか各国のトイレ話で盛りあがりそうですね!?

ところで、おっしゃるようにハッサン2世モスクは
アルハンブラ宮殿に大いに影響を受け、模して作られたようですよ。
やはりイスラム教徒にとって、アルハンブラは特別なものなんでしょうね~(^'^)
by collet (2010-10-20 12:17) 

collet

★しろのぽさんへ
>違いが大きいほどに、そこで感じとるものも大きそう
そうですね~出掛ける前まではそんな事を深く考えもしませんでしたが、
帰りの飛行機の中ではいろいろと考えさえられた旅でした~(-"-)

それからモザイクタイルは本当に美しかったですよ~~
特にハッサン2世モスクのはわたし好みの配色で~(*^^)v
それと空の色は明らかに日本とは違いますね・・・


★よしあきさんへ
よしあきさん、お帰りなさい~~(^^ゞ
写真は景色が良かっただけのようでして、お恥ずかしい・・・
あの砂漠地帯の貧困を見た後に豪華なモスクを見て、
何とも思わない人はいないと思います~(-"-)
by collet (2010-10-20 12:50) 

dolfin

大作遅れながらも読ませていただきました!
これまで空がブルーに写っている写真を何枚も見ましたが、天気は良かったんですね。
 貧富の差が激しいという言葉ですが、毎年2月にドバイでドバイワールドカップという世界最高峰の競馬の祭典があるんです。1着賞金が世界一なんです!2億円だったでしょうか。
 colletさんのお写真はっきりとはわからなかったですねえ(^-^)。ただ、なんとなく雰囲気はわかります。
 いつもいつも読ませていただくばかりで恐縮します(^^ゞ。少しずつでもアップするよう努力してみまーす!
by dolfin (2010-10-21 17:52) 

Bonheur

充実したご旅行でしたね~(^O^)

青い空に赤色・砂色の建物、素敵ですね。周囲に現代風のビルなんかが全くないのが、また良いです。
カサブランカのモスクも美しい~。

へナアート、お金を払わないと、どういう目に会うのでしょうか。
colletさん、イメージ通り、優しそうで可愛らしい方ですね♡
by Bonheur (2010-10-21 21:29) 

collet

★dolfinさんへ
大作だなんて~長々とお付き合いくださり、こちらこそありがとうございます~(__)
それから、こちらでは滅多に雨はなく晴天が多いようですよ。

ところで、貧富の差が激しいのは北アフリカのモロッコでして~(^^ゞ
世界一のお金持ちが集まるアラブ首長国連邦のドバイは、
往復の中継地として空港内を歩いただけです~
でも、2億円とは!サスガですね~~(@_@;)

で、、、メンはワレてなかったようで~(~o~)
恥ずかしいのでモザイクにしようかと思ったのですが、
一緒に写した彼らに失礼に思い・・・とにかく記念の1枚です~~(^^♪


★Bonheurさんへ
確かに充実していたからこそ、今でもこうやって語れるのだと思います。
ただ、もう当分こんな旅はできないでしょうね。
その意味もあり、ここに残しておきたくなったのです~(-"-)

押し売りへナアートの彼女たちですが、なかなか人を見て引っ張ってましたよ。
最初からお金を出さなそうな人には近寄らないとか!?
あっでも、払った彼女も勿論、値切ったと言ってました~(~o~)

それから最後のお言葉、どうもありがとうございます~
やはりモザイクにはしなくて良かったかしら~~(^^♪
by collet (2010-10-22 13:51) 

collet

Taddyさんこちらにも訪れありがとうございました!
by collet (2010-10-28 16:47) 

collet

とみっちさんこちらへもありがとうございます!
by collet (2010-10-30 13:21) 

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